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2013年1月19日 (土)

DSDダイレクト再生に酔う(クラッシック編)

どぉ〜も、どぉ〜も、毎日DSDダイレクト再生三昧の生活を送っているジャイアンです

自身、吹奏楽部に在籍していた経験もあって、クラッシック音楽も大好きです。
手元の音源で一番のお気に入りは、サイトウ・キネン・オーケストラ & 小澤征爾の「ベルリオーズ:幻想交響曲」なのですが、今回はクラッシックと言えば誰でも知ってるベートーヴェン 交響曲第九番をとりあげます。

日本人は世界で一番の第九好きと言われるほど、毎年末になるとそこかしこで演奏会がもようされます。市民団体まで巻き込んで、会場全体で合唱するなんてこともありますよねぇ。
しかし欧米では、演奏時間が70分を前後に渡ることや、フル編成のオケに合唱団、各パートのソリストまで揃えなければならない大作なので、数年に一度、演奏会がもようされるだけだそうです。
ベートーヴェン最晩年の作品で、作曲時にはすでに聴力をほとんど失っていたというのは、つとに有名なお話。また、初演は聴衆には異例と言われるほどの拍手喝采を浴びたものの、当時の評論家からは「長すぎる」「うるさすぎる」などと酷評され、長らく演奏されることがなかったという歴史も持っています。ベートーヴェン存命中には1・2回しか演奏されることはなかったとも言われています。
また四楽章からなる交響曲としては異例の構成。詳しくは後述します。

ま、詳しい歴史については、上のリンク先を参照していただくとして、サクサクと手持ちの音源で第九をDSD再生させてみましょう。

まずはコレ。

Herbertvonkarajanbeethovensymphony9

“カイザー〈皇帝〉”と呼ばれたヘルベルト・フォン・カラヤンベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏です。
1983年9月にベルリンで、デジタル録音によって行われた盤です。
CD黎明期の録音というわけですね!


端正な音で「これがベルリン・フィルの音だ!」と言わんばかりの威厳、悪く言えば上から目線の音に私には感じられます
特にティンパニーの音!いったいいつの時代のティンパニーを使ってるんだ!皮もマレットも特注だろう?というような古式然とした響きを放ちます。それが他の楽団にない良さと言えば言えるのでしょうが、融通さを感じない、楽しくない!
だからこの盤、今までほとんど聴いたことがなかったんです。


それをこの際、何度も繰り返して聴いてみました。
最初はiTunesでAIFFにリッピングした音源をAudioGateでDSDに変換した音源を再生させたら「なんじゃぁ、こりゃぁ!」という再生音。いかに私が好かない楽団の音とは言え、これはないだろうと、改めてAudioGateでリッピング。
やっと本来の音を聴けました
リッピング、大切ですねぇ〜!


続いては、ヘルベルト・フォン・カラヤンと同時期に活躍したレナード・バーンスタインウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏。
1979年、ウィーンでライブ収録されたものです。


Leonardbernsteinbeethovensymphony9

コレ、マスターはアナログ録音のはずなんですが、レナード・バーンスタインがノリノリで指揮をとっているのが音にありありと現れてます。
例えば指揮台の踏み鳴らす音とか、うなり声とか
この指揮スタイルは小澤征爾さんも同じですけど、たぶんこの人、指揮台の上で跳ねてるね。それぐらいの音がする。
PCM再生では味わえなかったライブ感を、DSDダイレクト再生だと堪能できます。
上のリンク先を見ていただければ、ヘルベルト・フォン・カラヤンやベルリン・フィルとのなかなか面白い逸話が紹介されてます。


さてそのパフォーマンスですが、まぁ見事にウィーン・フィルを掌の上に乗せ操っているという感を覚えます。
第一楽章、第二楽章では「そこまでやんちゃしますか」ってぐらい大胆に演奏し、一転して第三楽章で「これでもか!」っていうぐらいにウィーン・フィルの奏でる美しさと煌びやかさに溢れる音を堪能させてくれます。
いやぁ、これは名演だ!
そしてPCM再生では、この感動は味わえなかったなぁ〜!


少々腑に落ちないのは、リッピングに要する時間。
ヘルベルト・フォン・カラヤンや後述するサイトウ・キネン・オーケストラの盤は、私の環境では倍速ぐらいでリッピングしてくれるAudioGateですが、レナード・バーンスタインの盤では0.5倍速以下。それが盤の物理的な特性に関係しているのか、それとも記録されているデータに寄っているのか判然としません。以前から感じていたのですが、盤によってリッピングスピードに大きな差があるんですよね。
良音で音楽を堪能できるなら、私はどちらでもいいんですけど


続きまして(これが最後です)ご登場いただきますのは、サイトウ・キネン・オーケストラと我らがマエストロ小澤征爾による盤。
2002年9月、長野県松本文化会館におけるライブ録音です。


Seijiozawabeethovensymphony9

あぁ、なんか心なしかホッとする
なんかホームグラウンドに帰ってきたかのような安心感。
高級スパからスパランドを経て、近所の銭湯にたどり着いたような...
弦の音が美しくふくよか。
金管が出しゃばりすぎず、全体のバランスに配慮された演奏ですねぇ。
たしかサイトウ・キネン・オーケストラではコントラバスの数が7本くらいあるんですよねぇ。あの程度の編成で7本って言うのは多いんじゃないの?と思っていたんですが、低域がバシッと締まっているおかげで全体の調和が成り立っているように感じます。
コントラバスは弦が長いため、ボーイングし始めて音が出るのに少しタイムラグがあるんですよね。だからヘルベルト・フォン・カラヤンはコントラバスに対してほんの少しだけ早めに音出しするように指示していたはず。そして小澤征爾はヘルベルト・フォン・カラヤン、そしてレナード・バーンスタインの両氏に師事した指揮者ですので、その辺のこだわりはこの演奏においても活かされているのではと推測しています。
派手さはない。さりとて堅実一徹でもない。心から安らぎながら聴けるパフォーマンスだと私は思います。
一つだけいただけないのは合唱!
いかにも「外国の歌を唄っています」って感じますね。
先の2作品を聴いた後ですから、しかたないですよ、これは


さてベートーヴェンの第九というのは、非常に特異な構成になっています。
普通四楽章からなる交響曲というのは「起承転結」という風に構成されているモノ。
しかし第九に限っては「起・起・起・転結」という、なんとも驚きの内容なんです。
ベートーヴェンは豊富な経験と発揮しうる智恵を総動員して第一から第三楽章までを描き上げます。すばらしい楽曲です。
それをです、第四楽章において「ああ友よ、そんな調べではだめなのだ!」と、バスの一声で否定し去るのですよ!
実はラフの段階では、第四楽章の頭から声楽を入れようとしていたことが分かっています。第四楽章の冒頭で、第一から第三までの各主題を演奏して、チェロとコントラバスのユニゾンで全否定するのですが、その部分に第一楽章では「弱々しすぎる」、第二楽章では「明るすぎる」、第三楽章では「優しすぎる」と歌詞が書かれているのだそうです(と、この前、「ららら・クラッシック」で解説されてました《Eテレ》)。それに続いて第四楽章の主題を木管が奏で「それだ、その調べだ!」と書かれていたのですが、結局第四楽章の前半は器楽演奏のみにされました。
否定するために英知を傾けて素晴らしい三楽章を創作する。そうまでして彼、ベートーヴェンが表現したかったものとはなんなのでしょう?
ここが第九の一番の魅力だと、私は思っています。
合唱の最後の部分を紹介します。


「互いにいだき合うのだ、もろびとよ。
 全世界のひとたちとくちづけをかわし合うのだ
 同胞よ!満点の星々のかなたには
 父なる神はかならずやおわしますのだ
 そうすればおまえたちはひれ伏すか、もろびとよ。
 この世のものたちよ、おまえを創造した神がわかるか。
 星々の彼方に神はかならずやおわしますのだ」(訳:喜多尾道冬)


ベートーヴェンの人生は苦渋に満ちたものでありました。なんども絶望の淵を歩き、幾度も自殺を考えました。
それでも強靱な精神力で克服し、後々の音楽家達に多大な影響を残しました。
その彼がもっとも忌み嫌っていたのは、当時の音楽家には必ずパトロンがいて、交響楽ほどの音楽と言えば、イコール宮廷音楽であったことだと言われています。
しかし上の歌詞に明らかなように、ベートーヴェンはこの楽曲を全世界の人々へと捧げています。音楽とは一部の特権階級だけが享受するものではなく、等しく全ての人が享受すべき芸術でなければならないという強い強い信念が、この交響曲には込められているように、私には感じられてなりません。
また父なる神の存在を語るとき、誰人の頭上にも等しく広がる星々の彼方にこそおわしますとベートーヴェンは歌い上げます。
これもまた、当時キリスト教、信仰と言えば教会に足を運び、隷属を強いられていたことへの強烈なアンチテーゼのように私には感じます。


音楽家ベートーヴェンは五線譜を武器として、人々を縛り付ける権威と闘っていた。
音楽を芸術として広く世界中の人々へ届けようと奮闘していた。
その信念こそが、あらゆる絶望をも乗り越えさせる原動力だったのかもしれませんね。


蛇足ですが、レナード・バーンスタインとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるベートーベン 交響曲第五と第七もなかなかの名演です。
第五は“運命”として有名ですが、以前は「ただウルサイだけ!」と私は思っていました。でもこの盤をDSDで聴いて認識を改めました。「ベートーヴェンにとって運命は、こういうノック音を響かせて訪れるように感じられていたんだなぁ」と楽しんで音に身を預けられるようになりました。
また第七は「のだめカンタービレ」で一躍有名になった交響曲ですね。
どちらかだったかホルンのトップが一ヵ所思いっきりミスをおかすのですが(ホルンではありがちなミスです)両曲ともそれをものともしない見事なパフォーマンスです。


あぁ、今回のブログはずいぶんと語ってしまったなぁ

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コメント

クラシックがお好きでしたらXRCDがおすすめです。すんごく音が良いです。
http://www.xrcd.com/index_jp.html

しかしオーケストラは本当に凄いですね。クラシックではないのですが昨日、声優の水樹奈々のフルオーケストラライブに行ってきたのですが、神奈川フィルハーモニー管弦楽団98人、コーラス隊77人を使っていて、どの曲も単なる生音ではなく身震いするほどでした!

リッピングの所要時間って、何でバラつきがあるんでしょうね?私の場合は一旦EACでリッピングしてからiTunesでALAC化しているので尚更時間がかかって仕方ありません。

そういえばオンキョーがiOS向けのFLACアプリを作っていて遠くないうちにリリースされそうですよ。

コメントをありがとうございます、くろぇさん!


クラッシックに限らず、生の本物はやはりイイ!
私が大学生の時、グレゴリオ聖歌のさらに淵源にあたる歌を披露しているある有名なコーラス・グループが欧州にありまして、その東京でのコンサートに行きました。
放たれた第一声を聴いた瞬間に背筋に冷や汗がひと筋流れ、ただ呆然と聴き入っていました。
本物だけが持つ力は、やはりライブでないと感じられないですね!
そういう体験を、くろぇさんも若い内にたくさんしておいて下さいね。
そういう経験が、後々のより芳醇なオーディオ体験につながっていくのですから。

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