Topping D90のケツを叩く・其の二
ケツを叩くの2発目でございます。
どこのケツを叩くかと申しますと、DACチップのAK4499周辺に鎮座する4つのオペアンプを交換してしまおうという趣向です。
最初に書いておきますが、私はこの改造を全くオススメいたしません!
この部分のオペアンプの換装がとても、リスキーな作業だからです。
その内容は後述します。
ある日、私はある方からこうささやかれたのでした。
「AK4499は大電流出力。
しかしOPA1612では少し電流値が厳しい。
なのでもう少し余裕のあるOPA1602に置き換えてしまおう!」
そうささやかれた私は、根がヒトバシラーなので、すぐにOPA1602を手配してしまったのです。
それが、今日、届きました。
ちなみに、元から付いているOPA1612の方が、OPA1602よりお高いです。
(ビスパさん比較)
この事実を知った時は「止めといた方がいいかな?」とちょっと心に迷いが生じたのですが、やはり根がヒトバシラーなので、「ネタにもなるし」と強行したわけでございます。
で、オペアンプを取っ払った後...
この段階で、二回やらかしています。
何をかともうしますと、オペアンプのすぐ脇に置かれているチップコンまで外しちゃったのです。
(写真はリカバリー後です)
一個目はハンダ吸い取り線にくっついていました。
二個目はハンダごてのコテ先にくっついていました。
そりゃもう慌てたのですが、深呼吸して「ココまで来てはもう後には戻れないんだ!」と自分に気合いを入れて冷静になり、何とかリカバリーさせました。
(表面実装パーツのハンダ付けは初めてじゃありませんしね)
なんつったって、ジャイアンは細いコテ先なんて持ってませんから。
今回は、ずっと普通サイズのコテ先で作業してますから。
そりゃオペアンプの足にハンダを盛って、コテ先を当ててりゃ、周囲のパーツにも熱を加えることになりますよね。
それぐらいこの部分のパーツの集積度は高いです。
しかもこの部分のチップコンは、米粒よりも小さいです。
どっかに飛ばしてしまえば、ハイそれまでよというシロモノです。
(実際、この後、それをやってしまった...)
それが、この作業を全くオススメしない理由です。
で、何とかかんとかオペアンプを取っ払えたので、目的のOPA1602に換装です!
やったー!なんてお気楽に笑っていられません。
ワナはハンダ付け作業中にもありまして、実はこの部分のチップコンが基板上から消えていることに途中で気づきました...💦💦💦
今度はチップコンがどこにいったのか分かりませんでした。
もう頭を抱えて「やっちまったよぉ〜」とうめきながら、必死にちっちゃなチップコンを探しましたよ。
そしてら、基板の下にお隠れになっているチップコンを見つけることができました。
ハンダ付け作業に夢中になって、近くのチップコンが外れてしまったことに気づかなかったのですね。
もうこのチップコンを見つけた時は「ミラクルだ!ミラクルだ!」と叫んでいましたよ、ホント...💦
と、かくも心臓に悪い作業をすすめ、その後の音出しも無事にできました!
ともかく良かった良かった!
チャンと音が出てくれただけでも御の字ですよぉ💦
(今思い出しても「あり得ない展開だった」と冷や汗が出てきます)
で、その音ですが、出力段のオペアンプを替えた時ほどの驚きはありませんでした。
変化がちょっと地味目なんです。
しかし、カクジツに良くなりました。
まず最初に気づいたのは、分厚くて深い響きを伴った低域。
その響きは決してゆるくなく、タイトな部分ではヒッジョォ〜に小気味よくタイトに響きます。
そして中高域がとてもリッチです!
リッチなだけではなくて、微細なホールトーンのような余韻もよく聴かせてくれます。
60年代の古い音源を聴いた時は、当時ならではのフロアノイズの高さにも気づかせてくれます。
(この辺はヘッドホンだとより顕著に聴き取れますね)
我が家のメインスピーカーSONY SS-7330Aは、高域が甘めに響くんですが、このDACだとそうした甘さをあまり感じません。
かといって耳に刺さるわけでは全くありません。
このTopping D90改と我が家のスピーカーとの相性は、なかなかのものだと感じます。
今、Bil Evans TrioのWalts For Debby(ハイレゾ版)を聴きながらこれを打っているのですが、お店のお客さん達の歓談の音が、決して演奏をマスクしない程度にホント程よく聞こえてきて、演奏だけではなくてお店の雰囲気も味わえています。
AK4499の実力を、また一歩引き出せたかなと感じます。
決して簡単に「汗をかいた甲斐があった」とは言えない作業でしたが、私は「トライして良かった」と思っています。
(それもリカバリーできたからこそ言えるんですけどね)
たった1週間前に届いたばかりのTopping D90ですが、私的には「素のままで聴くには勿体ない」DACだと感じています。
とは言いつつ、私はこうした改造を人に勧めるものではありません。
やるなら自己責任で!
77,000円をドブに捨てる覚悟でどうぞ。
ワタシャどうなっても知りませんからね!
そうそう、最後に1つ。
フラットケーブルの取り外しと取付ですが、意外に簡単なことに気づきました。
フラットケーブルを受けているこのコネクターの黒いパーツを上に引き上げれば、コネクターが緩んで、無理なくフラットケーブルを抜き差しができます。
参考になれば幸いです。
« Topping D90のケツを叩く・其の一 | トップページ | SANSUI SP-100iEXがやって来た »
「趣味」カテゴリの記事
- SANSUI SP-100iEXをぶっこわ〜す(2021.05.07)
- Pioneer SA-9800の困ったちゃん(2021.04.18)
- SONY SS-5050/Ⅱがやって来た(2021.03.06)
- SANSUI AU-α607(2021.02.21)
- 12V版DC-Yarrow(2021.02.21)
「オーディオ」カテゴリの記事
- SANSUI SP-100iEXをぶっこわ〜す(2021.05.07)
- Pioneer SA-9800の困ったちゃん(2021.04.18)
- SONY SS-5050/Ⅱがやって来た(2021.03.06)
- SANSUI AU-α607(2021.02.21)
- 12V版DC-Yarrow(2021.02.21)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
ジャイアンさん、基板上の改造とは恐れ入りました。
私は小さいものが年齢的に無理というか、知識もないので無理です・・・
投稿: hiroget9 | 2020年7月16日 (木) 21時02分
>hiroget9さん
こちらにもコメントをいただき、ありがとうございます。
私もアラ還なので、目はヤバイです。こうした作業の時は、ハズキルーペと手元を照らすテーブルランプは必須です。
私も知識はホントに大したことはありません。ただハンダゴテを握って工作するのが好きなだけで、下手の横好きで、場数だけは踏んでいます。今回は、その場数を踏んでいることからくる変な自信のおかげで大事にいたらずに済みました。ホント、心臓に悪かったです。
ブログアップ後、こうした作業をする時は、被害に遭いそうなパーツの上にマスキングテープを貼っておくと良いよというアドバイスをいただきました。作業の前に知っておきたかったですねぇ(笑)
投稿: 本気でお馬鹿なジャイアン閣下 | 2020年7月16日 (木) 21時33分
実物のサイズを想定すると大変細かい作業、部品が載っている基板上の作業は面倒だと思います。特に密集している表面実装オペアンプは取り難いですよね。よくぞ無事生還されましたねw!
やればやる程良くなるとは、ますますAK4499の出音を聴いてみたいです。
因みに私も目はヤバいし根性も無いので、最近は安い実体顕微鏡で作業してたりします。
投稿: ta_syumi | 2020年7月17日 (金) 16時20分
>ta_syumiさん
コメントありがとうございます。
「よくぞ生還されましたね」とはよくぞ言ってくださった!本当にそんな感慨を持ちましたよ、今回は。
やればやるほどは本当で、今は唯一無二のD90を手に入れたと思っています。
オペアンプ周辺のパーツ保護には、マスキングテープやカプトンテープが使えるようです。人からのアドバイスですが、そこに早く気付いていれば...そういう意味でも、今回はよい経験ができました(音が出たから言えるんですよね)
投稿: 本気でお馬鹿なジャイアン閣下 | 2020年7月17日 (金) 16時54分
すごいですね。
私もアラ還ですが、この作業はとても無理ですね。
先日、2.5mm4極のプラグを半田付けするのに泣きそうになりました。
ところでI2Sの対決の結果はどんなものでしょう?
投稿: tokkari | 2020年7月17日 (金) 17時11分
>tokkariさん
コメントをありがとうございます。
そうそう、IIS入力とSPDIF入力の対決結果を書くのを忘れてたんです!
結果は今回もドロー。ただしこのドローは、双方ともに電源には入念な対策を施しての結果です。電源に一番カネと手間をかけてます。電源に入念な対策を施せば、SPDIFでもIIS入力に対抗しうるということでしょうか。Allo Digione Signatureがそれだけ高性能ということが言えると思います。
また私の環境のIIS入力ではSabreBerry32のクロックが使われて、SPDIFではD90内蔵のクロックが使われています。要は外部クロック対内蔵クロック対決になっているんですが、その点においてもいい勝負をしているという結果なのかもしれません。
投稿: 本気でお馬鹿なジャイアン閣下 | 2020年7月17日 (金) 18時25分
表面実装基板の作業をされるのでしたら、先の細いハンダゴテは用意されたほうが良いですね。
その道具の有る無しが生死の境目になる事がありますw
当方も老眼入ってきてパターンやパーツの足がハッキリと見えない事がありますがマイクロUSB 端子程度なら半田付けできてますよ。
もちろん、テスター、ルーペ、読書灯で事後確認はしますが。、
あとですね、ヤニやらフラックスやらは都度都度キレイに取り除くほうが作業の仕上がり良いです。はんだ吸い取り線も用意しましょう(笑)。
色々ノウハウは有りますが、主さんも言われてるように、そもそもハンダゴテ手作業前提と言うか考慮した表面実装基板など存在しないので、そこは理解してからですね。
しかしながらパターン破壊事故に至るのは、圧倒的に熱より加熱不足で部品こじって剥がす、ちぎる、です。
なので部品を外す際は充分な量のハンダを盛って部品が浮くまで温めましょう。熱だけではそう簡単に基板も部品も死ぬ事はないですよ(感覚問題は有ります)。
投稿: 少年 | 2020年10月29日 (木) 17時14分